マハ=ゾルディック:ネテロと戦った『HUNTER×HUNTER』の謎多き祖先

マハ=ゾルディックは、物語に直接登場する機会がほとんどないにもかかわらず、『HUNTER×HUNTER』屈指の魅力を持つ人物の一人だ。この非常に小柄な禿頭の老人は、一度だけ姿を見せるものの、ひと言も発しない。しかし、ゼノ=ゾルディックの発言によって、彼は暗殺一家の歴史における重要人物となる。アイザック=ネテロは、マハの祖父と一対一で戦い、生き残った唯一の人物だとされている。
この情報はマハを途方もない領域に位置付ける一方で、いくつもの疑問を生む。彼とゼノの正確な関係は何なのか。マハは本当に、存命のゾルディック家で最も古い世代なのか。そして、ネテロの暗黒大陸遠征に関わったジッグ=ゾルディックは、この不完全な家系図でどのような位置を占めるのだろうか。
原作漫画におけるマハ=ゾルディック唯一の登場
ゾルディック家は、一般人の目にはほとんど姿を見せない暗殺者の一族として登場する。ゴン、クラピカ、レオリオが一家の屋敷を訪れた際、当時の家族は子ども5人、両親、祖父母2人、そして曽祖父の計10人だと説明される。ゾルディック家の写真は、たった一枚でも非常に高い価値を持つ。
その祖先が姿を見せるのは、ずっと後のヨークシン編である。彼はイルミとカルトとともに、マフィアの十老頭の遺体の近くにいる。十老頭はクロロ=ルシルフルを始末するため、シルバとゼノを雇っていた。しかしクロロは先手を打ち、依頼主である彼ら自身を殺すようイルミに依頼していた。
その後、十老頭はイルミの針によって操り人形にされる。その場にいるゾルディック家の者の中には、とりわけ小柄で、禿頭かつ無言の老人がいる。この時点で原作漫画のページ上では正体が明かされないが、公式データブックでは彼をマハ=ゾルディックとしている。
マハはゼノの父なのか、それとも祖父なのか
データブックは当初、マハを98歳、身長140センチメートルとし、ゼノの父として紹介している。この説明に従えば、マハはキルアの曾祖父ということになる。だが、後に漫画で示された情報は、この見方を大きく複雑にする。
キメラアント編の王宮突入では、ゼノはネテロとともに作戦へ参加する。ネテロがネフェルピトーと対峙しようとするなか、ゼノは自らの祖父について言及する。そして、ネテロは祖父と一対一で戦い、今なお生きている唯一の男だと語る。
ここで用いられる言葉は、補助を受けた戦いや単なる暗殺契約ではなく、二人の相手による直接的な対決、文字どおりの喧嘩を指している。さらに重要なのは、ゼノが父ではなく祖父について話している点だ。
同じ場面で示される家系図は、マハとゼノの間に一世代が存在することを裏付けている。最上段にマハがいて、その下に名のない男性、さらにその下にゼノがいる。つまりマハはこの正体不明の男性の父であり、ゼノの祖父である可能性が高い。この場合、キルアにとっては高祖父にあたる。
この描写は、初期のデータブックにある情報と矛盾する。ただし、漫画本編に直接示されている点で重要だ。名前の明かされていない男性こそがゾルディック家の血統における欠けた環であり、広く知られる説ではジッグ=ゾルディックにあたると考えられている。
マハ=ゾルディックとアイザック=ネテロの決闘
ゼノの言葉は、マハがネテロを倒したと断言しているわけではない。むしろネテロが二人の対決を生き延びたこと、そしてそれを成し遂げた唯一の人物であることを示している。この違いは本質的であり、ネテロ以前にマハと戦った者は全員命を落とした可能性を想起させる。
ネテロの実力を考えると、この発言はいっそう印象的になる。ハンター協会会長は、半世紀以上前には自分が世界最強の念能力者だったと説明している。キメラアント編の時点では、全盛期の力の半分ほどしか残っていないと本人は見積もっている。
高齢となり衰えてなお、ネテロは途方もない速さの打撃を放つ百式観音を持つ。王メルエムの直属護衛軍の一人であるネフェルピトーでさえ、その動きを本当に追うには知覚を極限まで研ぎ澄ます必要があった。
したがって、マハとの戦いでは、ネテロは全盛期により近い状態だったはずだ。ゼノは、自身もクロロ=ルシルフルを相手に際立った余裕を見せられるほどの強者でありながら、ネテロが歴史的に上回ることを認めている。正確な力関係を定めることは不可能だが、マハが旧世代のごく限られた怪物級の強者に属することは明白である。
多様な資質を持つ一族の中の強化系
データブックでは、マハは強化系とされている。この念の系統は、使用者の力、耐久力、速度といった身体能力を直接高める。本編には現在までこの情報を否定する要素はない。ただし、年齢や血縁に関する矛盾を踏まえると、データブックの記述は慎重に扱う必要がある。
この系統であれば、マハは他の判明しているゾルディック家の者と異なることになる。ゼノとキルアは変化系、イルミは操作系、シルバは放出系とされる。ネテロもまた強化系だ。この情報が正しければ、二人は同じ世代に属し、伝説的な決闘を繰り広げただけでなく、同じ念の系統も共有していたことになる。
これは、『HUNTER×HUNTER』の戦いが単純な腕力の序列だけで決まらないことも思い出させる。系統、技術、戦術的な選択には大きな重みがある。その構図は、ほかの少年漫画で描かれる能力の成長、たとえばゾロが覇王色の覇気を扱えるようになるまでの変化にも通じる。
マハはなぜネテロと戦ったのか
この戦いには二つの仮説が考えられる。一つ目は依頼によるものだ。誰かがネテロを殺すためにゾルディック家へ報酬を払った可能性がある。この場合マハは、ほかの標的なら誰も生きて見届けられなかったであろう任務を完遂できなかったことになる。
より推測の域を出ない二つ目の仮説は、同時代最強と評された若い二人の戦士による私的な挑戦である。ネテロは自分を超えられる相手を求める人物として知られていた。そのため、彼がマハに戦いを挑んだ、あるいはゾルディック家の暗殺者が仕掛けた挑戦を受けた可能性がある。
仕事ではなく喧嘩を意味する言葉が選ばれていることは、後者の解釈を支えうる。また、ネテロとゾルディック家の関係は複数の世代にまたがっているように見える。ネテロはゼノを子どもの頃から知っており、メルエムへの作戦では彼に協力を求め、さらにジッグ=ゾルディックという人物とともに暗黒大陸へ旅している。
ジッグ=ゾルディックはマハの息子なのか
ビヨンド=ネテロの遠征に関する物語で、ジンはネテロがかつて密かに暗黒大陸へ赴いたと明かす。同行していたのはリンネ=オードブルと、若き日のジッグ=ゾルディックだった。この冒険は、ネテロが求めていたものを彼に与えなかったという。暗黒大陸で問題になるのはライバルを倒すことではなく、ただ生き残ることだったからだ。
一つの説では、ジッグを家系図でマハとゼノの間に位置する名のない男性と同一視する。そうであれば、ジッグはマハの息子であり、ゼノの父となる。この可能性は筋の通った連続性を作る。ネテロはマハと戦い、その後には息子とともに世界で最も危険な土地へ向かうほど親しい関係になったことになる。
この遠征は、マハの長寿とも関係しているかもしれない。暗黒大陸には、究極の長寿の秘密とされるニトロ米が存在する。ジッグは父のためにそれを持ち帰ろうとした可能性がある。ただし、これはあくまで説にすぎない。ジッグの正確な動機も、旅の後に彼がどうなったのかも確認されていない。
アイとナニカのつながりも疑問を深めている。アイは人間の欲望に関わる厄災であり、ナニカはアルカの身体に宿っている。そのため、ゾルディック家に存在するこの存在を、過去の暗黒大陸遠征と結び付けたくなるのは自然だ。しかし、漫画はまだ直接的な関係を示していない。
小さな姿に秘められた計り知れない可能性
マハ=ゾルディックは独特な立場にいる。彼は、ネテロがメルエムと決闘した時よりもはるかに強かった時代に、そのネテロと戦ったとされる。彼は意図的に曖昧にされている家系の一枝に属し、ジッグ、暗黒大陸、そして一族の深い歴史に関わる秘密を知っている可能性もある。
彼の弱々しい外見は、その名が持つ重みと意図的に対照をなしている。漫画作品における大きな謎と同じく、その魅力は描かれたものだけでなく、作品があえて画面外に残すものにもある。血縁と力の継承をめぐる議論は、ミホーク、ゾロ、そして覇王色の覇気の覚醒をめぐる考察も想起させる。
現時点でマハは、ほぼ完全な謎のままだ。一度の登場、台詞はなく、数行から示唆される過去しかない。それでも、このわずかな要素だけで、彼は『HUNTER×HUNTER』で最も恐るべき存在であり、再登場が待たれるゾルディック家の一人となっている。
マハ=ゾルディックに関するFAQ
マハ=ゾルディックはアイザック=ネテロに勝ったのか?
漫画では、二人の戦いの正確な結果は明かされていない。ゼノが語っているのは主に、ネテロが祖父と決闘してなお生きている唯一の男だということである。
マハ=ゾルディックはゼノの父なのか?
データブックではゼノの父とされていた。しかし漫画で示された家系図にはマハとゼノの間に名のない男性がいるため、マハはゼノの祖父である可能性が高い。
ジッグ=ゾルディックはゼノの父なのか?
確認はされていない。ネテロとともに暗黒大陸へ行ったジッグを、家系図でマハとゼノの間にいる名のない男性と同一視する説がある。
マハ=ゾルディックの念の系統は?
データブックでは強化系とされている。この情報自体は漫画で否定されていないが、同じ書籍のほかの情報には後の物語と一致しないものもある。



